継足をしないで打つを考える

考察

継足をしないで打つというのが流行り始めたのは某有名強豪高校が全国大会などで活躍し始め、先生の指導が広まってきたのが始まりではないでしょうか?

それからその高校の名選手や指導者が増え、継足をしないで打つことが各世代に広まるようになってきたと思います。一方、剣道大国「九州」ではそこまで浸透しているようには思いませんでした。

ちなみに私は足捌きは重要と考えつつも継足をしないで打つことに対しては絶対に良いという考えには至っていません。

全てを否定するわけではないので選手生活を通してよかったこと、よくなかったことを綴っていきたいと思います。

継足をしないで打てるようになってよかったこと

継足をしないで打てるようになってよかったことは、相面勝負になる場面や打つ体勢をすぐに作るのには役に立ったことと相手に起こりがわかりにくくなったことと思います。

しかし継足をしないで打てるようになったからといって試合でいつも勝てるようになったり、激的に強くなれたかというと強くはなるといった実感はありませんでした。

足の筋肉の使い方に幅と飛躍力が多くなったぐらいの実感です。

現役時代にいた周囲の選手も県内でもトップクラスの選手が集まっていましたが、継足をしないで打てるようになって試合戦績がものすごく上がったという選手は記憶としてはあまりありませんでした。

継足しても出遅れないし、強さは変わらない

結論からいって継足をしないで打てるようになることには技のバリエーションが増えるぐらいの感覚なのでむりに矯正する必要はないと思います。

継足をして打つことを継続してきた選手でも強い人は強いですし、九州剣道はほとんど基本稽古でも継足をしている選手が多い印象を受けます。

継足をしてうつことに対してはリスクはありますが、もっともリスクがあるのは継足をしないでうつことを矯正されてしまうことによって従来のスタイルが崩れてしまうことや、体の使い方が変わってしまうということです。

私は体の使い方が変わるぐらいなら矯正はしない方がいいと思います。

個人的な見解として、内村選手、勝見選手、西村選手、竹ノ内選手あたりは継足しても強い選手の代表と言えるでしょう。

この勝見選手と西村選手の切り返し部分の動画を見てもらうとわかりますが、継足をしてから面を打っています。指導者の中には、この最初の継足すらも矯正する人が多いです。

中学生ぐらいから戦績を残している選手については、絶対に矯正しない方が将来強い選手のまま成長すると思っています。

指導者や選手はむやみやらたにスタイルにこだわりすぎない方が良いでしょう。

継足をしないで打つと返し技を打たれる率が高い

継足をしないで打てるようになると体の力を一気に打突に全振りするので、返し技をされると太刀打ちができないことが多いです。

打突の速さが異常で合ったり、ものすごく身長が高いなどのメリットがあれば有効なのですが、平均的な身長であったり、スピードがそこまでないような選手については諸刃の剣になってしまいます。

起こりはわかりにくくなるので、当たる率は上がるかもしれませんが、目のいい選手や、待ち剣と言われる返し技を得意とする選手と当たった場合は相性がとってもわるいです。

なんでもかんでも継足をしないでうつことに囚われてはいけないのです。

継足をしないで打つという行為は体の使い方に理にかなっていないように思えます。人間の行動は流動的になっているので足が止まった状態から何かを大きく動かすのはとてつもないパワーが必要になるのです。

継足をしないで打つのを教える見極めの重要性

では継足をしないで打つということをいつどのタイミングで教えるべきでしょうか?

結論、初心者のうちか、選手のスタイルが確立されていないタイミングに教えておくことがベストです。

スタイルが確立している選手、すでに大きな戦績を残している選手に関しては絶対にスタイルを崩してはいけません。イップスのような状況を作りかねないため伸びなくなると思います。

大人になって自分の剣道を矯正したいといった思いがある場合は取り入れてもいいかもしれません。

ただ、継足をしないで打つということは今まで自分が積み上げてきたスタイルを一度崩すという行為になるということは覚悟した方がいいと思います。

そのぐらい難しい技術ですし、体の使い方がうまくない人は自滅します。

結論・余談

継足をしないで打とうが継足をして打っても変わりはない。ということです。その人の体や身体能力に合った指導をするのがベストです。

私の見解では、継足をしないでうつことを推奨しているのはこの技術、指導で自分が強くなった。戦績を残せるようになったと思っている人が多く、その指導をそのまま自分の指導に活かしている人が多いと思います。

もともとその強豪高校全盛期は素質、運動能力、剣道戦績がある程度全国で通用するような選手が集まり、稽古量を上げていったことで強くなっていったという要因があります。継足をしないから劇的に強くなったとは言いにくく、継足をせずとも打てる技術、競技能力を維持できる稽古量と環境があったからだと私は考えています。

そんな選手が集まって、稽古する時間も多く環境に恵まれているのに強くならない要因は少ないと思います。決して継足をしないで打てるようになったからといって強くなったわけではないですし、継足をしないことで試合技術が飛躍的に上がったわけではないと思っています。

これが、例えば中学時代は全くの無名選手で地区大会で負けるような選手が全国上位になったという実績が多ければ指導の裏付けを検証できると思うのですが、私には指導内容以外にも勝てる要因が多くあったように思うのです。

実際に継足をしないで打つことを学んできた私は継足をしようがしまいが試合の技術などにはそこまで直結しない印象があります。

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