なぜ女性の剣道八段が生まれないのか

考察

現代剣道の最高峰とも言える段位である「八段」

最難関資格として取り上げられることもしばしばあった。現在も合格人数はごくわずかである。しかしながら現在まで女性の剣道八段はまだ誕生していない。令和になった現在でも生まれていないことに関して非常に疑問である。女性の七段はいっぱいいるのに・・・。

昨今ジェンダー関連の話題が取り上げられている時代、女性活躍と政府からもお達しがある時代に、女性に八段は無理、八段には値しないということなのだろうか。業界全体として、この事実にどのように向き合っていくのか、そもそも向き合う気なんてないのではないかと感じることがある。

ではなぜ女性剣士の八段は生まれないのか?

私が考える要因をいくつか挙げていきたいと思う

  • 八段を受ける段階において女性の身体能力に圧倒的不利だから
  • 女性八段の審査基準がそもそも定まっていない
  • 女性剣士の八段を誕生させると弊害やリスク、責任が発生する

大きくこの3つかなと思っています。この3つの視点をさらに詳しく説明します。

八段を受ける段階において女性の身体能力に圧倒的不利だから

八段は最短で受験資格がある年齢は最年少で46歳です。剣道をずっと続けてきて全ての段位で最短合格した場合です。まずこの時点でかなりハードルが上がります。女性剣士で最短で段位を取り続けられる人はごくわずか。警察特練で剣道を続けている人や教員で続けてきている人でかつ技量が高い人。その中でも最短で段位を取り続けられる人はほんの一握りです。世界大会とか全日本の強化選手になる人でさえ六段や七段に落ちることもあるのですから。

それに加えて妊娠・出産のライフイベントがある女性にとってはブランクなどもあるため最年少で受験すること自体がむずかしくなり、そうなると50歳ぐらいの年齢から受験をすることになるため体力的な部分・筋力ともに男性に比べて圧倒的に不利になります。50歳で俊敏な動きをした男性剣士もごくわずかな世界に、それと同等に女性剣士が俊敏に動ける人はいないのではないでしょうか?

たとえ46歳の最年少で受験できたと仮定しても女性となると筋力量・身体能力もかなり衰え同年代の男性と比べて圧倒的に不利になります。ただでさえ、身体の個体差でハンデがある上にそんな中で男性と立ち会いをして先をかけようとしても難しいですし、同じような身長・体格・年齢差の考慮がないと同等で合格する立ち会いは非常に難しいのです。

女性八段の審査基準がそもそも定まっていないのではないか

2つ目は女性が八段を受審したときに審査基準が八段の先生がわかならないのでは?という仮定です。

審査は番号が与えられてますが、立ち会いを見れば男か女かぐらいは声でわかります。ここでバイアスがかかります。さらに立ち会いをすると女性と男性で立ち会いをした場合タイミングや間合いの違いが発生しより審査を難しくします。

男性と同じように立ち会いして合格という姿勢には疑問が残ります。一生女性剣士なんて合格せんわ!って感じですよね。

仮に過去最年長で合格した76歳とかの最年長受験男性剣士と最年少46歳受験の女性剣士が立ち会いしたらどうなるんでしょうね。女性は落ちて男性は合格するのか確認してみたいものです。

でも八段の大事なところって刀法をみているってかつて九段の先生がおしゃっていましたが、現代では違うんですかね。

お偉い先生の中には「女性の七段は八段と同等」という認識もあるように思います。

女性剣士の八段を誕生させると弊害やリスク、責任ができる

最年長76歳で合格している男性剣士がいるのにも関わらず、女性で合格しないのは男性社会な感じがしますよね。

当然女性八段を誕生するということになると剣道界では話題になるでしょう。もちろん取得した女性剣士も求められるものも多くなると思います。(嫉妬もあるかもしれませんね)

また女性の八段を誕生させるということは審査する人にも責任が伴います。八段の審査では、

1次審査員6人中4人以上の合意により合格と判定し、第二次実技審査は、審査員9人中6人以上の合意により合格と判定する。という基準があります。

この15人にはこの人を八段に値するという判断と責任が生じるのです。もし女性八段の合格を出すとなると審査した先生にも責任が生じるのです。女性初の八段が誕生し、お偉い先生があの女性剣士を八段にしたのは誰だ?なんてなったら、業界内では審査した先生にとってはそれなりの説明と責任が伴います。

女性剣士を八段にするというのは、受審・合格をする女性剣士も審査する先生方も先駆者にならなければならないということです。

そのため、この問題に関しては業界全体が一度取り上げて、剣道界の発展のために考えていかなければ今後も女性の八段剣士が生まれることはないと思います。

最後に

この女性の八段問題は今後の剣道人口や継続、にも私は関係してくると思っています。ただでさえ少子化で人口が減っていくのが見えてきている未来に対して、子供を産み、子供に剣道をさせたいと思う親の立場からすると女性の剣道界での地位が上がらないのは暗い未来しかありません。これから国際社会が激化していくなかで世界大会まである剣道が女性の最高段位がないのはグローバル視点から見ても遅れているのです。世界剣道連盟サイトからも少しご批判をいただいていますし。

女の子の子供を持つ親御さんがいたら、現代社会で剣道やらせようと思わなくなる要因になるかもしれません。

時代とともに変化していくことが難しいのならいっそ相撲会みたいに女性は一切入れなくでもいいのかもと思ってしまう今日このごろなのでした。

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